후리가나로 읽는 일본 고전
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
夏目 漱石의 趣味の遺伝(しゅみのいでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,235자 · 77화면
実は待ち合す人があって停車場まで行くのであるが、停車場へ達するには是非共この群集を左右に見て誰も通らない真中をただ一人歩かなくってはならん。よもやこの人々が余の詩想を洞見しはしまいが、たださえ人の注視をわれ一人に集めて往来を練って行くのはきまりが悪るいのに、犬に喰い残された者の家族と聞いたら定めし怒る事であろうと思うと、一層調子が狂うところを何でもない顔をして、急ぎ足に停車場の石段の上まで漕ぎつけたのは少し苦しかった。
場内へ這入って見るとここも歓迎の諸君で容易に思う所へ行けぬ。ようやくの事一等の待合へ来て見ると約束をした人は未だ来ておらぬらしい。暖炉の横に赤い帽子を被った士官が何かしきりに話しながら折々佩剣をがちゃつかせている。その傍に絹帽が二つ並んで、その一つには葉巻の煙りが輪になってたなびいている。向うの隅に白襟の細君が品のよい五十恰好の婦人と、傍きの人には聞えぬほどな低い声で何事か耳語いている。ところへ唐桟の羽織を着て鳥打帽を斜めに戴いた男が来て、入場券は貰えません改札場の中はもういっぱいですと注進する。大方出入の者であろう。室の中央に備え付けたテーブルの周囲には待ち草臥れの連中が寄ってたかって新聞や雑誌をひねくっている。