후리가나로 읽는 일본 고전
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
夏目 漱石의 趣味の遺伝(しゅみのいでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,235자 · 77화면
三抱もあろうと云う大木だ。例年なら今頃はとくに葉を振って、から坊主になって、野分のなかに唸っているのだが、今年は全く破格な時候なので、高い枝がことごとく美しい葉をつけている。下から仰ぐと目に余る黄金の雲が、穏かな日光を浴びて、ところどころ鼈甲のように輝くからまぼしいくらい見事である。その雲の塊りが風もないのにはらはらと落ちてくる。無論薄い葉の事だから落ちても音はしない、落ちる間もまたすこぶる長い。枝を離れて地に着くまでの間にあるいは日に向いあるいは日に背いて色々な光を放つ。色々に変りはするものの急ぐ景色もなく、至って豊かに、至ってしとやかに降って来る。だから見ていると落つるのではない。空中を揺曳して遊んでいるように思われる。閑静である。――すべてのものの動かぬのが一番閑静だと思うのは間違っている。動かない大面積の中に一点が動くから一点以外の静さが理解できる。しかもその一点が動くと云う感じを過重ならしめぬくらい、否その一点の動く事それ自らが定寂の姿を帯びて、しかも他の部分の静粛なありさまを反思せしむるに足るほどに靡いたなら――その時が一番閑寂の感を与える者だ。