후리가나로 읽는 일본 고전
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
夏目 漱石의 趣味の遺伝(しゅみのいでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,235자 · 77화면
何も銀杏のせいと云う訳でもなかろうが、大方の檀家は寺僧の懇請で、余り広くない墓地の空所を狭めずに、先祖代々の墓の中に新仏を祭り込むからであろう。浩さんも祭り込まれた一人である。
浩さんの墓は古いと云う点においてこの古い卵塔婆内でだいぶ幅の利く方である。墓はいつ頃出来たものか確とは知らぬが、何でも浩さんの御父さんが這入り、御爺さんも這入り、そのまた御爺さんも這入ったとあるからけっして新らしい墓とは申されない。古い代りには形勝の地を占めている。隣り寺を境に一段高くなった土手の上に三坪ほどな平地があって石段を二つ踏んで行き当りの真中にあるのが、御爺さんも御父さんも浩さんも同居して眠っている河上家代々之墓である。極めて分りやすい。化銀杏を通り越して一筋道を北へ二十間歩けばよい。余は馴れた所だから例のごとく例の路をたどって半分ほど来て、ふと何の気なしに眼をあげて自分の詣るべき墓の方を見た。
見ると! もう来ている。誰だか分らないが後ろ向になってしきりに合掌している様子だ。はてな。誰だろう。誰だか分りようはないが、遠くから見ても男でないだけは分る。恰好から云ってもたしかに女だ。