일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しゅみのいでん

趣味の遺伝

夏目 漱石

夏目 漱石의 趣味の遺伝(しゅみのいでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,235자 · 77화면

아오조라 문고

銀杏はひらひらと降って、黒い地を隠す。

余は女の後姿を見送って不思議な対照だと考えた。昔し住吉の祠で芸者を見た事がある。その時は時雨の中に立ち尽す島田姿が常よりは妍やかに余が瞳を照らした。箱根の大地獄で二八余りの西洋人に遇った事がある。その折は十丈も煮え騰る湯煙りの凄じき光景が、しばらくは和らいで安慰の念を余が頭に与えた。すべての対照は大抵この二つの結果よりほかには何も生ぜぬ者である。在来の鋭どき感じを削って鈍くするか、または新たに視界に現わるる物象を平時よりは明瞭に脳裏に印し去るか、これが普通吾人の予期する対照である。ところが今睹た対象は毫もそんな感じを引き起さなかった。相除の対照でもなければ相乗の対照でもない。古い、淋しい、消極的な心の状態が減じた景色はさらにない、と云ってこの美くしい綺羅を飾った女の容姿が、音楽会や、園遊会で逢うよりは一と際目立って見えたと云う訳でもない。余が寂光院の門を潜って得た情緒は、浮世を歩む年齢が逆行して父母未生以前に溯ったと思うくらい、古い、物寂びた、憐れの多い、捕えるほど確とした痕迹もなきまで、淡く消極的な情緒である。