후리가나로 읽는 일본 고전
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
谷 譲次의 踊る地平線(上)(おどるちへいせん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 168,926자 · 332화면
あちこちでおたがいに訊きあっている。きっと、皇太子殿下がいま亜弗利加旅行へ出発するところだ、ことのいや、皇太子殿下がいま亜弗利加旅行からおかえりになるところだとのこと、いろいろ取り沙汰がたいへんだとみえて、何かさかんに言いふらしている物識顔と、それに応じてしきりにうなずいている頭とがそこここに揺れている。
時計はとうに三時二十七分を過ぎて、カレイ・ドウヴァの汽船に聯絡する汽車から吐きだされた乗客のむれが、ぞろぞろ停車場を出て来た。アドルフ・マンジュウの出迎人は瞬間石のように緊張しながら、一列につづく自動車のために細いみちを開ける。そこを群集に驚いた乗客たちが、思いおもいにタキシを走らせて通りすぎてゆく。それがすっかり通り過ぎてしまっても、奇蹟はまだ出現しない。一同は散ろうともせずに待っている。いぎりす人らしく自治的に、そして可笑しいほど厳粛な沈黙と静寂のうちに。
私たちは飽きてしまった。で、いささかばかばかしくなって歩き出そうとしたときだった。
ざわざわと停車場の出口にあたって少数の人がうごいたように思った。と、誰もかれもが一そう首を伸ばして、同時にアドルフ、アドルフというじつにものしずかな――英吉利人らしい自制的な――声がつたわってきて、女は手ぶくろを振っている。