후리가나로 읽는 일본 고전
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おどるちへいせん
踊る地平線(上)
谷 譲次
谷 譲次의 踊る地平線(上)(おどるちへいせん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 168,926자 · 332화면
そしてそのもっとも端的な場合が――床屋だ。
で、これは床屋での出来事――出来事というほどのことでもないが――である。
いったい日本でも理髪店は私を臆病にする。鏡という女性的な、伝説的な存在のまえで、刃物と饒舌が思うさま活躍するからだ。ことに白い布を首のまわりへ押しこめられて、大きな椅子に捕虜になっていると、私はすっかり自信をうしない、かがみの中の自分へむかってひたすら恐縮する。「一男子がこころから友達を要求する時」――そんな気がしてくるのだ。
だからその時も、こみ上げてくるこのはかなさで一ぱいになりながら、私は椅子にじっとして一刻も早く「手術」がおわるのを待っていた。倫敦の町はずれの、一住宅区域内の商業街の、煙草屋の奥の床屋である。午後二時半。良人たちはみな市の中心へ出勤し、夫人達はそろそろお茶の支度にかかり、胃は昼飯を消化して睡気をもよおし、交通巡査はしきりに時計を見て交替にあこがれ――これを要するに、町ぜんたいがようやく一日の疲れを示し出して、蠅と床屋の鋏と太陽だけがますます調子づくほか、一時ちょっと万物が虚脱するような真昼の静寂だった――どうもいかにも大事件が突発しそうだが、また私じしんにとっては確かにひとつの衝懼にちがいなかったが――。