후리가나로 읽는 일본 고전
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ぐんこくかようしゅう
軍国歌謡集
山川 方夫
山川 方夫의 軍国歌謡集(ぐんこくかようしゅう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 39,655자 · 80화면
いつも、夜の十時前後になると、その歌声は聞こえてきた。
下宿には庭も塀もなくて、窓の下は、直接に、オート三輪がやっと通れるほどの道がはしっている。道は細く長く、しかしまっすぐにつづいていて、歌声の聞こえてくる方向を逆に行くと、表通りへと出るややひろい道につながる。歌は、どうやら毎日お勤めに出ている若い女が、帰宅する道で歌っているのらしく、日曜日や休日には聞こえないのだ。
道がまっすぐなせいか、しいんとした屋敷町の夜の静けさの中で、歌声はかなり遠くから聞こえてくる。それはまず、かすかな幻聴のようにはじまり、ためらいがちなごく細い声で、だが、はっきりと歌詞の立った澄んだ明瞭な歌いぶりで、まるで闇の中に一本の白い糸を引くみたいに、私たちの窓の下に近づく。歌はかならず戦争中のもので、一時、私の姉が夢中になって憶えたり歌ったりしていた軍国調のやつばかりだった。歌声の主は、歌詞をまちがえないよう熱心に気を配っていて、ちょっとでもつっかえると、また最初からやり直したりする。そして、一語一語はっきりと発音しながら、自信にみちた正確な歌いぶりで、闇の中をゆっくりと歩いて行く。