후리가나로 읽는 일본 고전
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
水野 葉舟의 遠野へ(とおのへ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 55,903자 · 117화면
「猿尾……と、がせと言う字は。」と私を振り返った。
「いいえ、そう書くのじゃないんです。私もどんな字だったか……たしかにそれの字はあるのだが、忘れてしまったが。まあ仮名で書いておいて下さい。」と、私は言った。
「さるおがせですね。」と口の中で言いながら鉛筆でその名を書いた。
ところに、また一人インバネスを着た三十五六の男がずっと憚り気もなく入って来た。赭黒い、髭のあとの多い、目の切れた男で、酒を飲んでいた。はいってくると、私の向ったそばにいる若い男を押しやるように、割り込んだ。
「今のは分ったか?」と、その男に聞いた。
「さるおがせって言うのだそうです。深山に生える苔の一種だとか……」
「ふむ、めずらしいもんじゃな。」
と、言うところに、顔の滑らかな青白い中年の男がはいって来た。白い甲斐絹の襟巻を首に巻きつけていた。その男がはいってくるとイムバネスと、判事さんとの間にいた男は、私のそばに来た。これでこの小さい箱のような馬車の中はぎちぎちになってしまった。押しつけられているように、自由には身動きもできない。
馭者が馭者台に乗って、(この馬車には馭者が一人いるっきりだ)鞭をしごいた。