후리가나로 읽는 일본 고전
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じゅうきちひょうりゅうきぶん
重吉漂流紀聞
久生 十蘭
久生 十蘭의 重吉漂流紀聞(じゅうきちひょうりゅうきぶん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 26,456자 · 52화면
ベケットは世にも親切な異人だが、一度も日本のことを口に出さないのは、所詮、日本へ送り届けてくれる気がないからである。交易をすませると、イギリスへ帰るというが、日本とは交通のない国柄だから、日本人などはいずれどこかの島へ追い降ろしてしまうつもりなのにちがいない。せっかく奉行が親切にいってくれるのだから、あの娘とここで世帯を持って交易の仕方でも習い、自分の船を持つところまで成上がったところで、晴れて国へ帰るのも悪くない、など迷いを起しかけたが、それでは音七と半兵衛を見捨てることになる。そういう不人情なこともしかねるので、せっかくのご親切だが、この土地にはとどまりかねると辞退した。
翌日、書役のエベットにこの話をすると、それは昨日奉行から聞いた。あの六人の女はみなバラノフの娘だが、バラノフはカムサッカで高田屋嘉兵衛という男に逢って人物に惚れこみ、娘の一人に日本人の養子を取りたいと思っている。つまりお前は馬になるわけだったが、断わられてバラノフも落胆したことだろう。お前もあんな美しい娘を女房にもらって、シトカの城持ちになるところだったが、断わったとは惜しいことをしたものだなどといった。