후리가나로 읽는 일본 고전
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きんろう
金狼
久生 十蘭
久生 十蘭의 金狼(きんろう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 89,438자 · 179화면
時にはふだんの慎みも忘れて、ひどく軽い調子でふざけてみせたりした。それが身につかず努力して振舞っていることがありありとみえ透いた。当然触れなければならぬはずの葵の過去についても、ただの一度も触れようとせず、それを故意に避けているようすさえ見えるのだった。そして、われわれの文法に必要なのは、現在形と未来形だけだ、といく度もくりかえしていった。一度は葵も尤もだと思い、二度目も肯いた。しかし三度四度となると、へんな気がしてくるのだった。
久我がなぜこんなことを口にし、なんのためにこんな振舞をするのか、どうしても葵には了解することが出来なかった。最初は葵が劣性家系の出であることを知って、それをそれとなく慰撫するために、こんな態度をとるのかと思った。しかし、葵と偽名しているこの娘が、じつは大名華族の、和泉家の長女であることを東京で知っているのは彼女自身とむかしの家庭教師、志岐よしえだけである。よしえは東京にはいない。いま失踪中なのである。
〈……すると、もしかしたら久我は、あたしが絲満を殺したと信じているのではないだろうか、と彼女はかんがえる。……久我はそう信じ、いやな思い出を忘れさせようと、いろいろに慰めている……〉