후리가나로 읽는 일본 고전
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
林 不忘의 釘抜藤吉捕物覚書(くぎぬきとうきちとりものおぼえがき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,760자 · 24화면
「旦那方、御苦労さまでごぜえます。」
折柄来合わせた町奉行の同心の下役にこう挨拶すると、頭の常吉を土蔵の前へ呼び出して、藤吉は改めて、徳松一件の続きへ耳を傾けた。
二十何年か前のことだった。そのころの下町の大店なぞによくある話で、女房のおさえが病身なままに、主人の撰十は小間使のお冬に手をつけて、徳松という男の子を生ませたのであった。なにがしかの手切金を持たせて、母子もろともお冬の実家奥州仙台は石の巻へ帰したのだったが、それからというもの、雨につけ風につけ、老いたる撰十の思い出すのはその徳松の生立ちであった。ただ一代で具足町の名物とまで、店が売り出してくるにつれ、妻の子種のないところからいっそうこの不幸な息子のことが偲ばれるのであった。この徳村撰十という人物は、ただの商人ばかりではなく、茶の湯俳諧の道にも相当に知られていて、その方面でも広く武家屋敷や旗下の隠居所なぞへ顔を出していた。彼のこの趣味も元来好きな道とは言いながら寄る年浪に跡目もなく、若いころの一粒種は行方知れず、ことに三年前に女房に別れてからというものは、店の用事はほとんど大番頭の喜兵衛に任せきっていたので、ただこの世の味気なさを忘れようとする一つのよすがにしていたらしいとのことだった。