후리가나로 읽는 일본 고전
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
野村 胡堂의 銭形平次捕物控(ぜにがたへいじとりものひかえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 157,440자 · 313화면
「奥の部屋じゃないか」
もう一つ奥にある六畳、そこは二人の寝室で、お静の鏡台や、母親譲りの古いたんすまで置いてあるのですがそこにも猫の子一匹いず、あとは平次の愛蔵の植木鉢を並べた椽側と押入と、便所と――それだけでお仕舞いです。しかもその椽側の雨戸も厳重の上にも厳重に締めてあるのです。
「いない」
八五郎は恐ろしい疑惧にさいなまれて、何処ともなく宙を見詰めて突っ立ちます。
「天井裏か、床下じゃないか」
「提灯に灯りを入れろ」
「おれは天井へ潜ってみる」
下っ引はこんなことには馴れておりました。商売道具の御用の提灯をおろすと、大あわてに灯りを入れて、一人は押入から天井裏へ、一人はお勝手の落しから床下へ這い込みましたが、そこにもあるものは鼠の糞だけ。
「いない」
「見えないぜ、八兄哥」
二人はつままれたような顔をして這いもどりました。
「そんなばかなことがあるものか」
八五郎はもう一度家の中を調べてまわりましたが、椽側もお勝手口も厳重に締めてあり、曲者とお静はこの箱のような密閉された家の中で、真に咄嗟の間に、煙の如く消えてなくなったのです。
若い女――お静は、夫平次の稼業柄もあり、夕方早いうちに、用心深く戸締りをすることは、八五郎もよく知って居ります。