후리가나로 읽는 일본 고전
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ちんじょうしょ
陳情書
西尾 正
西尾 正의 陳情書(ちんじょうしょ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 19,750자 · 38화면
承託を受けると男は忽然欣喜雀躍として、弱い灯を受けつつ車体を横えて客待ちして居る陰気な一台の円タクを指先で呼び寄せました。嗟、閣下よ、其の夜其の男の誘いに応じたが為に、其の行先の淫売宿で不可解な事実に遭遇し貞淑であった妻に疑惑の心を抱き始め、遂には彼女を撲殺しなければならない恐ろしい結果を導いて了ったので有ります。
男は運転手に行先を命じはしましたが、小声である為に私には聞き取れず、遠方かい、と訊きますと、いいえ、直ぐ其処です、と答える許りで、自動車は十二時過ぎの夜半の街衢を千束町の電車停留所を左に曲し、合羽橋、菊屋橋を過ぎて御徒町に出で、更に三筋町の赤い電灯に向って疾走して行きました。遊廓付近はそれでもおでん立ち飲みの屋台が車を並べ、狭い横丁からカフェの女給仕の、此の儘別れてそれでよけりゃ、気強いお前は矢張り男よ、いえいえ妾は別れられぬ、別れられぬ――と音律も哀愁も無視した黄色い声が聞えて来、酔漢や嫖客が三々五々姿を彷徨わせて居り、深い夜更けを想う為には時計を見る等しなければなりませんが、一度其の区域を外れ貧しい小売商家街に這入りますれば、深夜の気配が求めずして身に犇々と感じられます。