후리가나로 읽는 일본 고전
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おとについて
音に就いて
太宰 治의 音に就いて(おとについて)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 1,660자 · 4화면
同じ扉の音でも、まるっきり違った効果を出す場合がある。これも作者の名は、忘れた。イギリスのブルウストッキングであるということだけは、間違いないようだ。ランタアンという短篇小説である。たいへん難渋の文章で、私は、おしまいまで読めなかった。神魂かたむけて書き綴った文章なのであろう。細民街のぼろアパアト、黄塵白日、子らの喧噪、バケツの水もたちまちぬるむ炎熱、そのアパアトに、気の毒なヘロインが、堪えがたい焦躁に、身も世もあらず、もだえ、のたうちまわっているのである。隣の部屋からキンキン早すぎる回転の安蓄音器が、きしりわめく。私は、そこまで読んで、息もたえだえの思いであった。
ヘロインは、ふらふら立って鎧扉を押しあける。かっと烈日、どっと黄塵。からっ風が、ばたん、と入口のドアを開け放つ。つづいて、ちかくの扉が、ばたんばたん、ばたんばたん、十も二十も、際限なく開閉。私は、ごみっぽい雑巾で顔をさかさに撫でられたような思いがした。みな寝しずまったころ、三十歳くらいのヘロインは、ランタアンさげて腐りかけた廊下の板をぱたぱた歩きまわるのであるが、私は、いまに、また、どこか思わざる重い扉が、ばたあん、と一つ、とてつもない大きい音をたてて閉じるのではなかろうかと、ひやひやしながら、読んでいった。