후리가나로 읽는 일본 고전
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かぜ
風
壺井 栄
壺井 栄의 風(かぜ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,702자 · 78화면
ひょいとのぞいた茂緒は思わず、「あら。」といった。上げ板の上りばなに腰かけていた扶佐子は、庖丁をもったまま大粒の涙をたらたらと頬に流しているのだ。引きもならず困っている茂緒の胸に、小さな扶佐子はいきなりかじりついてきて、こんどはおいおい泣きだした。
「どうしたんですか。ね、どうしたの。」
ひとしきり泣いたのち扶佐子は、急に、えへらえへらと笑いだし、
「奥さんをおどかしたのよ。ほのかにほのかに悲しゅうて、泣いてただけなのさ。」
それはまったく、歌にさそわれて泣いたのを納得させるほど、もう何でもない顔つきだった。扶佐子さん、役者みたいだ。――と茂緒は思う。しかし、彼女と隣り同士に暮すようになってから、茂緒はいろんな疑問がつぎつぎと生まれてきた。あるとき茂緒は、いつものくせで気短なNが小さな扶佐子をいきなり抱いて、玄関のたたきに投げつけるのを見たことがある。泣き声も立てず、やがて扶佐子は、いつもの甘い声で、
「奥さん。」
と、縁側の方からやってきた。そして、
「今ね、けんかしたのよ。わたしに出ていってくれって。Nさんて、いい人なんだけど、お金がなくなるとわたしのせいにしちゃうのよ。