후리가나로 읽는 일본 고전
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しょくま
食魔
岡本 かの子
岡本 かの子의 食魔(しょくま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 36,911자 · 74화면
ああ、そのとき、何という人間に対する哀愛の気持が胸の底から湧き出たことだろう。そこにはもう勝負の気もなかった。征服慾も、もちろんない。
あの大きな童女のような女をして眼を瞠らせ、五感から享け入れる人の世の満足以上のものを彼女をして無邪気に味い得しめたなら料理それ自身の手柄だ。自分なんかの存在はどうだってよい。彼はその気持から、夫人が好きだといった、季節外れの蟹を解したり、一口蕎麦を松江風に捏ねたりして、献立に加えた。ふと幼いとき、夜泣きして、疳の虫の好く、宝来豆というものを欲しがったとき老僧の父がとぼとぼと夜半の町へ出て買って来て呉れたときの気持を想い出した。鼈四郎は捏ね板へ涙の雫を落すまいとして顔を反向けた。所詮、料理というものは労りなのであろうか。そして労りごころを十二分に発揮できる料理の相手は、白痴か、子供なのではあるまいか。
しかし鼈四郎は夫人が通客であった場合を予想し、もしその眼で見られても恥しからぬよう、坂本の諸子川の諸子魚とか、鞍馬の山椒皮なども、逸早く取寄せて、食品中に備えた。
夫人は、大事そうに、感謝しながら食べ始めた。「この子附け鱠の美しいこと」