후리가나로 읽는 일본 고전
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しょくま
食魔
岡本 かの子
岡本 かの子의 食魔(しょくま)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 36,911자 · 74화면
病友はここまで歯を食い縛って我慢していたが、「た た た た た た」といって身体をすさらせた。彼はいった。「さすがに堪らん、もう、ええ、あとはたれか痛みの無くなった死骸になってから描き足して呉れ」それゆえ、腫物の上に描いた人の顔は瞳は一方しか入れられずに、しかも、ずっている。鼈四郎は病友がいった通り、彼が死んでからも顔を描き上げようとはしなかった。隻眼を眇にして睨みながら哄笑している模造人面疽の顔は、ずった偶然によって却って意味を深めたように思えた。人生の不如意を、諸行無常を眺めやる人間の顔として、なんで、この上、一点の描き足しを附け加える必要があろう。
鼈四郎は病友の屍体の肩尖に大きく覗いている未完成の顔をつくづく見瞠り「よし」と独りいって、屍体を棺に納め、共に焼いてしまったことであった。
病友に痛みの去る暇なく、注射は続いた。流動物しか摂れなくなって、彼はベッドに横わり胸を喘ぐだけとなった。鼈四郎は、それが夜店の膃肭獣売りの看板である膃肭獣の乾物に似ているので、人間も変れば変るものだと思うだけとなった。病友は口から入れるものは絶ち、苦痛も無くなってしまったらしい。