후리가나로 읽는 일본 고전
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うまのあし
馬の脚
芥川 竜之介의 馬の脚(うまのあし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,968자 · 23화면
彼女はそのためにいつものように微笑することも忘れたなり、一体細引を何にするつもりか、聞かしてくれと歎願した。しかし夫は苦しそうに額の汗を拭いながら、こう繰り返すばかりである。
「早くしてくれ。早く。――早くしないと、大変だから。」
常子はやむを得ず荷造りに使う細引を一束夫へ渡した。すると彼はその細引に長靴の両脚を縛りはじめた。彼女の心に発狂と言う恐怖のきざしたのはこの時である。常子は夫を見つめたまま、震える声に山井博士の来診を請うことを勧め出した。しかし彼は熱心に細引を脚へからげながら、どうしてもその勧めに従わない。
「あんな藪医者に何がわかる? あいつは泥棒だ! 大詐偽師だ! それよりもお前、ここへ来て俺の体を抑えていてくれ。」
彼等は互に抱き合ったなり、じっと長椅子に坐っていた。北京を蔽った黄塵はいよいよ烈しさを加えるのであろう。今は入り日さえ窓の外に全然光と言う感じのしない、濁った朱の色を漂わせている。半三郎の脚はその間も勿論静かにしている訣ではない。細引にぐるぐる括られたまま、目に見えぬペダルを踏むようにやはり絶えず動いている。常子は夫を劬わるように、また夫を励ますようにいろいろのことを話しかけた。