후리가나로 읽는 일본 고전
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えきふにっき
駅夫日記
白柳 秀湖
白柳 秀湖의 駅夫日記(えきふにっき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 34,989자 · 69화면
私は駅長の問うにまかせて、私の身の上話をした。月影のさす秋の夜に心ある夫婦の前で寂しい来しかたの物語をするのは私にとって、こよなき歓楽であった。
私の父は静岡の者で、母はもと彦根の町のさる町家の娘で、まだ禿の時分から井伊の城中に仕えてかの桜田事件の時にはやっと十八歳の春であったということ、それから時世が変って、廃藩置県の行われたころには井伊の老臣の池田某なるものに従うて、遠州浜松へ来た。
池田某が浜松の県令に撰抜されたからで、母は桜田の騒動以来、この池田某に養われていたのであった。
母はここで縁があって父と結婚して、長い御殿奉公を止めて父と静岡にかなりの店を開いて、幸福に暮していた。母の幸福な生活というのは実にこの十年ばかりの夢に過ぎなかったので、私は想うて母の身の上に及ぶと、世に婦人の薄命というけれど、私の母ばかり不幸な人は多くあるまいと思わぬ時はないのである。
父が死んでから、私たち母子は叔父の家に寄寓して言うに言われぬ苦労をしたが、私は小学校を出て叔父の仕事の手伝いをしている間も深く自分の無学を羞じて、他人ならば学校盛りの年ごろを、いたずらに羞かしい労働に埋れて行くことを悲しんだ。