후리가나로 읽는 일본 고전
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たかおざんげ
高尾ざんげ
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 高尾ざんげ(たかおざんげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,252자 · 21화면
また、檜山さんは或る時、船を焼くという話をしたことがありました。昔のこと、遠い国のこと、知らない土地を占領に出かけた勇敢な人々は、海を渡って来た自分の船をそこで焼き捨てて、帰りの退路を自分で絶ち切ってしまったとか。それと同じ気持ちだと檜山さんは言いました。その檜山さんの気持ちをどうすればよいのでしょう。
菊千代はその頃、俥が嫌いになって、はでなお座敷着でないのを幸に、考えながら歩いて杉茂登へ行きました。堀割の水に灯がちらほら映っているのを、我知らず足を止めて眺め入ることもありました。すぐ向うは焼け跡で、五月の青草の匂いが風に乗ってきました。戦争はもう遠い過去に追いやられていましたが、しかし、あとには、ただむなしい空虚が残っていました。
ひしと胸にせまる悲しさを懐いて、菊千代は何の喜びもなく杉茂登のいつもの室にはいってゆきました。
檜山はへんに酔っぱらって寝そべっていました。
「やはり、歩いて来たの。」
「ええ。」
にっこり笑おうとしたのが、頬にこびりついてしまって、菊千代は項垂れました。
「ちょっと、そのまま立っておいでよ。」
腑に落ちないで佇んでる菊千代の足先を、いきなり、檜山は両腕に抱きかかえて胸に頬に押しあてました。