후리가나로 읽는 일본 고전
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まと
魔都
久生 十蘭
久生 十蘭의 魔都(まと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 293,999자 · 578화면
まるで雲を掴むような話。
警視庁は俄かに色めき立つ。全東京の警察網は一斉に戦時体制に入った。本庁では急遽捜査会議を開き、捜査の大方針を決定すると、全管轄区及び近接五県に水も洩らさぬ捜査陣を敷く。捜査課は直ちに有明荘六人の住人と、日比谷公園「唄う鶴の噴水」の会場から皇帝を誘拐したと風評される安亀一派の追求を開始し、外事課は十二月初旬以来の来航者並びに在留外人の行動を一人ずつ虱つぶしに調査することになった。
まるで警視庁が引ッ繰り返るような、戦争のような騒ぎが始まっているのに、真名古捜査課長だけは総監室の椅子にのッそりと掛けたまま、身動きしようともしない。警視庁切っての俊才、検察ブレーン・トラストの第一人者、冷酷無情をもって知られる真名古こそ、こんな際には先に立って捜査の指揮にあたらなければならぬ筈なのに、これほどの大騒動を空吹く風と聞き流し、こんなところにへばり込んでいるのは、日ごろ敏捷明快なその人にははなはだふさわしからぬ態度である。
前回は、真名古のこの鬱陶しい態度にさすがの総監も業をにやし、一体どうしたのだときめつけると、真名古はジロリと総監の面を見上げ、陰気な声で、私は今まであなたと二人ッ切りになる機会を待っていたのですと、妙に凄いことをいい出すところで終りになっていた。