후리가나로 읽는 일본 고전
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
吉川 英治의 鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 261,216자 · 521화면
「用があるならば待っていそうなものを」と、お千絵はそこでまたちょっと不審を起こして足を止めた。すると、先の虚無僧の影、ヒラリとふりかえって、
「早く」
と、手を振ってまたさしまねいて行く――。
「もし……」
糸にひかれているように、お千絵は思慮もなく走った。ひとたび闇へ進んだかの女は、闇の怖ろしさを忘れていた。
そして、追いすがらずにはいられない場合のように、
「……弦之丞様は、弦之丞様は?」
と影について息をせいた。
「まだ。まだ。まだ!」
虚無僧は次第に大股になって行った。河原づたいから三本木の仮橋を東へ渡って、少し町屋を離れると、岡崎の畷にかかるさびしい藪のあちらこちらにかまぼこ小屋の影が幾つか見えはじめた。お千絵はもう息がつづかなくなって、
「待って下さいまじ! ……もし!」
と半ば、涙声になって虚無僧の袂にすがりついた。
「なんだい?」
と、対手の声は急に冷たく尖がって、
「黙ってサッサと歩きねえよ。そしたら、やがてお前の好きなお方と逢わせてやる」
「露にしめって、草履の緒が、少しほぐれかけてまいりましたので……」
「じゃ、裸足になりねえな」
「山科の僧院とやらまでは、これからまだ、たんと道のりがございましょうか」