후리가나로 읽는 일본 고전
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てらだとらひこ
黄道
和辻 哲郎
和辻 哲郎의 黄道(てらだとらひこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 28,971자 · 59화면
なおそれ以上に物を取り出そうとすれば出せないでもなかったが、その代わり誰かが怪我をしたかも知れない。小石川から駛け戻った岩波がそれをとめたので、原稿と帳簿の他は丸焼けになった。このときが幾時ごろであったかは解らないが、焼け跡から出た時計は一時十五分でとまっていたそうである。
深川の森下町にいたN女の話によると、地震で逃げ出したときには附近のものが互いに火を警戒し合ったので、近所から火事は出さなかった。しかし去年の経験で、また水道がとまるだろうと考えて、震動の隙間に台所へ飛び込み、できるだけ多く水を汲み取って置いた。出入りの職人がかけつけて来たときには、N女の母親は、明日にも屋根屋をよこして貰いたいなどと言っていた。が、その内に電車通りの向こうから火が出た。火足が早いので、何一つ取り出すひまもなく、逃げるための舟を探さねばならなかった。初め話のできた舟が駄目になって、ずっと小さい舟が手に入ったので、それに七十幾つかの祖父と母親と自分と(それがN女の家族全体であった)が乗りこんで、船頭に大川を漕ぎ下らせた。避難の舟が多いので、もし初めの大きい舟に乗ったならば、相生橋でつかえて動けなくなるところであったが、舟が小さいお蔭で波の荒い沖へ出ることができた。