후리가나로 읽는 일본 고전
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
小栗 虫太郎의 黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 296,741자 · 584화면
彼は中途まで来たのを再び引き返して、もと来た大階段の頂辺に立った。そして、衣嚢から格子紙の手帳を取り出して、階段の階数をかぞえ、それに何やら電光形めいた線を書き入れたらしい。さすがこれには、検事も引き返さずにはいられなかった。
「なあに、ちょっとした心理考察をやったまでの話さ」と階上の召使を憚りながら、法水は小声で検事の問いに答えた。「いずれ、僕に確信がついたら話すことにするが、とにかく現在のところでは、それで解釈する材料が何一つないのだからね。単にこれだけのことしか云えないと思うよ。先刻階段を上って来る時に、警察自動車らしいエンジンの爆音が玄関の方でしたじゃないか。するとその時、あの召使は、そのけたたましい音響に当然消されねばならない、ある微かな音を聴くことが出来たのだ。いいかね、支倉君、普通の状態ではとうてい聴くことの出来ない音をだよ」
そういうはなはだしく矛盾した現象を、法水はいかにして知ることが出来たのだろうか? しかし、彼はそれに附け加えて、そうは云うものの、あの召使には毫末の嫌疑もない――といって、その姓名さえも聞こうとはしないのだから、当然結論の見当が茫漠となってしまって、この一事は、彼が提出した謎となって残されてしまった。