후리가나로 읽는 일본 고전
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
小栗 虫太郎의 黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 296,741자 · 584화면
と云うのは、その――投げ出した、左手から左足までが一文字に垂直の線をなしていて、右手と右足とが、くの字形にはだけ、なんとなく全体の形が、Kobold のKを髣髴とするもののように思われたからである。それが、扉口から三尺ほど前方の所を足にして、斜右に仰向けとなって横たわり、しかもレヴェズやクリヴォフ夫人と同じよう、悲痛な表情をしていて、それにはいささかも恐怖の影はなかった。屍体には、右の顳にひどい弾丸の跡が口を開いていて、敷物の上に、流れ出た血がベットリこびり付いているが、外出着を着て手袋までもつけたところを見ると、あるいは法水の許を訪れようとして、突然狙撃されたのではないかと思われた。なお、兇行に使用された拳銃は、扉の外側――把手の下に捨てられていて、その扉には、外から起倒閂が掛っていた。けれども、この局面には一つの薄気味悪い証言が伴っていて、それから陰々と蠢くような、ファウスト博士の衣摺れを聴く思いがするのだった。
――ちょうど二時頃銃声が轟いたので、館中がすくむような恐怖に鎖されてしまって、誰一人現場に馳せつけようとするものはなかった。すると、それから十分ほど経つと、隣室で慄えていたセレナ夫人の耳に、扉を閉めて掛金を落した音が聞えたと云うのである。