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ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

このことを申し立てたのは中村という同級生であった、中村は善良な青年だが、思慮にとぼしく言葉が多いのが欠点である、かれは学校中のすべてのことを知っているのでみながかれを探偵と呼んでいた、だがこの探偵は決して人に危害を加えない、口からでまかせにすきなことをしゃべりちらして喜んでいるだけである。中村は手塚が昨日不良少女と活動写真館からでたのを見た、そうして後をつけていくと洋食屋へはいったというのであった。

級の重なるものが五人集まって相談会を開いた、もし手塚であるなら同級の恥辱だからなんとかいまのうちに相当の手段を講じなければなるまい。これが会議の主眼であった。

「きゃつは一体生意気だからぶんなぐるがいいよ」

と浜本という剣道の選手がいった。浜本はすべてハイカラなものはきらいであった、かれは洋服の上にはかまをはいて学校へ来たことがあるので、人々はかれを彰義隊とあだ名した。

「なぐる前に一応忠告するがいいよ」と渋谷がいった、渋谷は手塚と親しかった、かれは日曜ごとに手塚の家へいってご馳走になるのであった。かれはまた手塚から真珠入りの小刀だの、水晶のペンつぼなどをもらった。