轻松读懂日语经典作品
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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
かの女はそれもひきぬいておかみさんにいった。
「これだけでいくらですか」
おかみさんはこれが柳家の令嬢だとは気づかなかった。
「五円六十銭です」とかの女はいった。
「そう?」
文子はがま口をあけて銀貨を掌に数えた、一枚二枚三枚……。五円二十銭しきゃない。
「あら、たりないわ」
文子は顔をまっかにしていった、かの女は周囲に立っている男女学生がみな自分の方を見てるような気がした。おかみさんは冷ややかに文子を見やった。
家へ帰ってお母さんにお銭をいただいてこようかしら、と文子は考えた、だがそのあいだにこの本が他人に買われると困る、かの女はまったく途方にくれた。もしかの女が私は柳の娘ですから宅へ届けてくださいといったなら、おかみさんは二つ返事で応ずるのであった、ところが文子にはそれができなかった。
「いくらお持ちなの?」とおかみさんがいった。
「四十銭足りないのよ」
「へえ」
おかみさんはくるりと横を向いた。とこのときひとりの女学生が文子に声をかけた。
「文子さん、私だしてあげますわ」
文子はその人を見た、それはかの女が小学校時代の上級生で染物屋の新ちゃんというのである、新ちゃんは桃色の洋服を着て同じ色の帽子をかぶり、きらきらした手提げ袋から銀貨を取りだした。