轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ああぎょくはいにはなうけて

ああ玉杯に花うけて

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页

青空文庫

これを聞くたびにチビ公はいつも涙ぐんでいった。

「伯母さん、ぼくはどんなにもかせぐから、そんなことをいわないでくださいよ」

ある日かれは豆腐おけをかついで例の裏道を通った、かれの耳に突然異様の音響が聞こえた。それは医者の手塚の家であった。夕日はかっと植え込みを染めて土蔵の壁が燃ゆるように赤く反射していた。欝蒼と茂った樹々の緑のあいだに、明るいぼたんの花が目ざむるばかりにさきほこっているのが見える。そこに大きな池があって土橋をかけわたしみぎわには白いしょうぶも見える。それよりずっと奥に回廊紆曲して障子の色まっ白に、そこらからピアノの音が栄華をほこるかのごとく流れてくる。

「ああその家はぼくの父の家だったのだ」

チビ公は暗然としておけを路傍におろして腕をくんだ。

「お父さんは政党のためにこの家までなくしてしまったのだ。お父さんはずいぶん人の世話もし、この町のためになることをしたのだが、いまではだれひとりそれをいう者がない。その子のぼくは豆腐を売って……それでもご飯を食べることができない」

チビ公は急になきたくなった、かれは自分が生まれたときには、この邸の中を女中や乳母にだかれて子守り歌を聞きながら眠ったことだろうと想像した。