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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
と光一はわらった。
「さようなら」
千三はおけをかついでふらふらと歩きだした。光一はだまって後ろ姿を見送ったが、両手を顔にあててなきだした。日は次第に暮れかけてうの花だけがおぼろに白く残った。
翌日光一は学校へゆくと手塚がかれを待っていた。
「きみ、気をつけなきゃいけないよ、生蕃がきみを殺すといってるよ」
「なぜだ」
「きみの父がチビ公の伯父さんのさしいれ物をしたそうじゃないか」
「だれがそんなことをいったんだ」
「町ではもっぱら評判だよ」
「そんなことはぼくは知らん、よしんば事実にしたところで、生蕃がなにもぼくを殺すにあたらない話だ」
「ぼくもそう思うがね、あの問題はチビと生蕃のことから起こって、大人同志の喧嘩になったんだからな」
「かまわんさ、ほっとけ、ぼくは生蕃をおそれやしないよ」
「きみはいつも傲慢な面をしてるとそういってたよ」
「なんとでもいうがいい」
「しかし気をつけなけりゃ」
手塚はいつも表裏反覆つねなき少年で、今日は西に味方し明日は東に味方し、好んで人の間柄をさいて喜んでるので、光一はかれのいうことをさまで気にとめなかった。
そのころ生蕃は得意の絶頂にあった、かれが三年のライオンを征服してから驍名校中にとどろいた。