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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
ものものしい気分が全校にみなぎった。
なにごとか始まるだろうという期待の下に人々は校庭に集まった。
「諸君!」
大きな声でもってどなったのはかつて阪井と喧嘩をした木俣ライオンであった。
「わが校のために不良少年を駆逐しなければならん、かれは温厚なる柳を傷つけた、そうして」
「わかってる、わかってる」と叫ぶものがある。
「おまえも不良じゃないか」と叫ぶものがある。
木俣はなにかいいつづけようとしたが頭を掻いて引込んだ。人々はどっとわらった。これを口切りとして二、三人の三年や四年の生徒があらわれた。
「校長に談判しよう」
「やれやれ」
「徹底的にやれ」
少年の血潮は時々刻々に熱した。
「待てッ、諸君、待ちたまえ」
五年生の小原という青年は木馬の上に立って叫んだ。小原は平素沈黙寡言、学力はさほどでないが、野球部の捕手として全校に信頼されている。肩幅が広く顔は四角でどろのごとく黒いが、大きな目はセンターからでもマスクをとおしてみえるので有名である、だれかがかれを評して馬のような目だといったとき、かれはそうじゃない、おれの目は古今東西の書を読みつくしたからこんなに大きくなったのだといった。