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あほうどりのなくひ
あほう鳥の鳴く日
小川 未明
「童話」1923(大正12)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,725 字 · 16 页
」と、子供は答えました。
「なんで、おまえは捕まえてみせないのだ?」
「私は、ただ赤い鳥をここへ呼んだばかりです。」
「捕まえてみせなければ、金をやらないぞ。」と、群衆は口々に叫びました。
「赤い鳥を呼んでみせろというだけの約束であったのです」と、子供は答えました。けれどみんなは、口々に勝手なことを喚いて、承知をしませんでした。
「手に捕まえてみせなけりゃ、金をやらない。」と、酒に酔った男もいいました。
「私は、お金はいりません。そのかわり、今夜この町へ、黒い鳥をたくさん呼んでみせましょう。」と、子供はいいました。
黒い鳥という言葉は、なにか不吉なことのように、みんなの耳に聞かれたのです。けれど、だれも心から、ほんとうに信ずるものはありませんでした。なんでおまえにそんなことができるものか? この赤い鳥の飛んできたのは、偶然だったろうといわぬばかりの顔つきをして、この汚らしい子供の姿を見守っていました。
そのとき、だれか、小石を拾って、電信柱の頂に止まっている赤い鳥を目がけて、投げました。赤い鳥は驚いて、雲をかすめて、ふたたび夕空を先刻きた方へと、飛んでいってしまいました。