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あめんちあ

あめんちあ

富ノ沢 麟太郎

「改造」1911(明治44)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,594 字 · 83 页

青空文庫

誰に問いかけられるとも。

しかし――彼はこの男もやはり自分と同じクラスの者であるに違いないと思った。

それにしても彼が教室へ出席しなくなってから、彼は余程の日数を数えるにいいのである――教室にあって、彼は彼自身の溜息とセコンドとの数の交響楽のリズムをひとりでに教えられた。

彼はふと教室の模様を目前へ描いてみた。

そうして教室の窓越しに豊麗な四月の町が、彼自身の瞳へ映っているようにさえ感じられた。

そうして彼は自分の唯一の楽みであるその窓から、人間の言葉とか動作とか人生の影とかを掴もうと夢みたことを、いまだに忘れてはいない。

そうして彼はそれらもろもろのものの説明を聴きたいばかりに、不安な感じに抱かれながらも、日光を浴びた町の光景のなかへ誘い込まれた。

そこへ跳び出た。

そうして彼は眼眩みながらも、そこここを歩き廻った――

彼はふと思い出したように、自分の目前の青年を顧みて、ひと口てれかくすように訊ねてみた。

「どなたでしたか?」

「青沼白心です――どうでしょう、コーヒーでも飲みませんか。

」

こう言って青沼は周囲を見廻した。

そうして青沼は歩き出して、ちょいちょい彼を振返って見た。