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あめんちあ

あめんちあ

富ノ沢 麟太郎

「改造」1911(明治44)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 41,594 字 · 83 页

青空文庫

そうして彼は未だに彼自身の自惚れに酔うていないこともなかった。

そうしてあのコンポジションのうちに、ひょっこりと思いついたあの気の毒なウィリイこそ彼自身に外ならないではなかろうか。

ところで、あんな筋の話は、所々方々、いたるところに捨ててあるものだ。

それを彼はいかにも自分が作意したかのように言いふらした。

彼は親友の気持を欺いてもいいと思うほど、彼自身の虚勢が大切であると考えていたのであろうか。

それにあの気の毒な少年は、彼自身の対象として、直面的に見、極く簡単にではあるが、かなり貴重な置地においてある。

勿論それはあれだけの説明では足りない、と彼は考えている。

しかしいくらかは何事かを訴えるだけの力は含まれていないこともない。

それともそんなことは少しもないのであろうか。

神のような心をもっているあの少年が、彼自身と同じくあらゆる機会を取り逃がしている。

少年は何事をかなそうと考えている。

家を逃げ出してサアカスへ加入させて貰うことを無想しているのかも知れない。

少年は果して何を考えているのか。

しかしウィリイは泣き笑いの生活で満足しているらしい。

これは兎に角として、彼は親友の言葉でかなり機嫌を悪くした。