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あるひのせんせいとこども
ある日の先生と子供
小川 未明
「童話」1924(大正13)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,639 字 · 8 页
「お湯をやったのかい。」と、小田は、目を円くして問いました。
「やまがらが、お湯を飲んだら、舌を焼くだろうかね。」と、吉雄は、小田にたずねました。
「お湯を飲めば、舌を焼くさ。」
「死ぬだろうね?」
「ああ、死ぬかもしれないよ。」
吉雄は、もう、じっとしていることができませんでした。さっそく、教室へはいって、荷物を持って帰り支度をしました。
「君、家へ帰るの?」と、小田が、そばにきてたずねました。
「ああ、僕、家へ帰って、やまがらにお湯をやったのを、水に換えてくるよ。しかし、もう飲んでしまったら、たいへんだね。」と、吉雄は、いいました。
すると、りこうそうな、目のぱっちりした小田は、吉雄を慰めるように、
「君、もう飲んでしまったらしかたがない。そして、いま時分は、お湯は、こんなに寒いんだもの、水になっているよ。帰ってもしかたがないだろう。」といいました。
吉雄は、なるほどと思いました。そして、帰るのをやめました。
この話を、だれか受け持ちの先生に、したものがあります。すると、先生は、みんなの前で、
「小田のいうことはよくわかる。頭がいいからだ。そして、いつまでもお湯が、あついと思ったり、やまがらに、お湯をやるようなものは、頭がよくないからだ。