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おかまのうた
おかまの唄
小川 未明
「良い子の友」1945(昭和20)年10月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,094 字 · 5 页
松林で、聞きなれた鳥の声がしました。窓をあけると、やまがらやしじゅうからが、枝から枝をつたって鳴いていました。
「僕のにがしたやまがらではないかな。」
少年が、じっとその姿を見ていました。遠い町で逃がしたのが、どうして、ここまで飛んでこられよう、と思いました。
戦争のさいちゅうで、もし家が焼けたら、かごの中の鳥がかわいそうだといって、自分はかわいいやまがらを逃がしたし、友だちも、おなじ日に、べにすずめを逃がしたのでした。
「君のべにすずめは、南の国へ飛んでいくし、僕のやまがらは、北のふるさとへ帰るだろう。」
二人はよろこんで、飛んでいった小鳥を見送ったのでした。
少年は、それからまもなく、お祖父さん、お祖母さんのすんでいられる田舎へ、疎開しました。この古いお家で、お父さんが子供のとき、本を読んだり、字を書いたりなさったのだろう。またお祖父さんは、
「これから、いろいろの鳥が、裏の林へくる。雪が降ると、山鳥もうさぎもくる。そうしたら、捕ってやるぞ。」といわれました。
青々とした木々の葉が、いつのまにか、みごとに赤く、黄色くいろづきました。すこしはなれた畑には、かきの実がたくさんなっていたし、あちらの垣根のすみには、山茶花が、しめった地面の上に散って、いちめん、貝がらをしいたようでした。