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おさくのはなし

おさくの話

小川 未明

「教育研究」1929(昭和4)年10月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,508 字 · 9 页

青空文庫

それから、間のないことであります。

「おさくちゃんのいく、いいところが見つかったぞ。」といって、おじいさんは、ある日の晩方、機嫌よく、外からはいってきました。

「まあ、おじいさん、それは、どうもありがとうございます。」と、母親は、いって、おじいさんを迎えましたが、うれしいうちにも、いよいよかわいい娘に別れなければならぬ日がきたかと思うと、悲しさが、胸いっぱいになりました。しかし、それを押さえつけて、顔にあらわすまいとして、母親は、にこにこ笑いながら、

「ほんとうに、いろいろ心配くださいまして、すみません。」といって、おじいさんの話に、耳を傾けたのです。

おさくは、だまって、母親と並んですわり、自分の世話されてゆくところは、どんなところだろう……。自分みたいなものにつとまるかしらん? なんとなく、うれしいような、悲しいような気持ちを抱いて、目をかがやかしながら、おじいさんの顔を見つめていました。

「あちらさまは、もののわかったお方だから、正直につとめさえすれば、長く、めんどうをみてくださるにちがいない。べつに、したくはいらない、ほんの身のまわりのものだけ、まとめておきなさい。