轻松读懂日语经典作品
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おさん
おさん
山本 周五郎
「オール読物」文藝春秋新社、1961(昭和36)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 33,128 字 · 66 页
「話してもむだなんだがな」と伊三は考えぶかそうに云った、「おれねえ、ほんとのこと云うともう十二になるし、いいかげんにおちつこうかと思ったんだ」
「そう気がつけばなによりだ」
「おじちゃんのこと好きだしさ」と伊三は続けた、「できるなら弟子にしてもらってさ、半人なみでもいいから職人になりてえって思ったんだよ」
「それが本気ならよろこんで」
「いけねえんだ」と伊三は首を振って遮った、「それがだめなんだ、おれが女は嫌いだって云ったのを覚えてるだろ」
「聞いたようだな」
「女がおじちゃんを待ってるんだ」
参太はぞっと総毛立った。おさんが待っている、というふうに聞えたからだ。参太は立停って伊三を見た。
「誰が、――待ってるって」
「箱根からいっしょに来た女さ」と伊三は逃げ腰になりながら答えた、「飯田屋へいって訊いてみたらさ、おじちゃんは帰らねえかって、番頭が云っているところへあの女の人が出て来たんだ」
「あれとはちゃんと別れたぜ」
「おれを見てあの女の人はどなりつけた、おまえまだあの人にくっついてるのかい、承知しないよってさ」伊三は黄色い歯をみせて、おとなびた含み笑いをした、「あたしたちに近よるんじゃない、わかったかいってさ、おっかねえ顔だったぜおじちゃん」