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おじさんのはなし
おじさんの話
小山 清
「新潮 第五十巻七号」新潮社、1953(昭和28)年7月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,232 字 · 42 页
」
そう云われると、若しかしたらそうかも知れないという気がして、私はかつて配達した区域の娘たちの顔を、あれこれと思い浮べてみた。角の煙草屋の娘かしら。それとも横町の豆腐屋だろうか。土手下に土蔵のある大きな門構えの家があったが、あそこに年頃の娘がいなかったかしら。……私も阿呆な証拠には、自分がなんだか男のシンデレラにでもなったような気がしてきた。
「どうだ。まんざら胸に覚えのない話でもないだろう。」
それは私だってなにも木石というわけではないから、人知れず憎からず思った娘の一人や二人はないわけではなかったが、けれどもそれは私だけの話で、先方は御存知ない。私が首をかしげて半信半疑な顔をしていると、おじさんも思案顔をしていたが、
「いや、これは娘じゃないかも知れぬ。親の方から出た話かも知れんぞ。」
「というと、どういうことになるんだ。」
「養子だよ。きみを養子に欲しいんだ。どっちにしろ悪くない話だ。きみは見込まれたんだから。」
「新聞配達を見込むなんて、そんなもの好きな人がいるのかね。」
「そこが見込むということじゃないか。」
「だけど養子なんて、あまり芳しくないな。