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おくみさんとそのしゅうい

お久美さんと其の周囲

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页

青空文庫

自分の力の及ぶ限りお久美さんを安らかにさせてやらなければならないのだとも思い又あんな悲しい目をこらえて居られるのも二人の助け合いがさせて居るので、私がお久美さんを思わない時のない様に辛い涙のかげでお久美さんの呼ぶのは亡くなった両親でなければ自分だと云う事も信じて居た。

十位の時からの交わりはお互の位置の違いだとか年の違いだとか云う事を離れさせて仕舞って居るので、十九のお久美さんは二つ下の※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子に愛せられ大切にいつくしまれて、困る事と云えば打ちあけて相談するのが習慣になって居て、二人は打ちあけて話して居るのだとか上手く相談に乗って呉れようかくれまいかなどと云う事に関しては何も考えも感じもしない程「一緒の者」と云う気になりきって居た。

※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子が十の時二つ上のお久美さんは最う沢山に延びた髪を桃割に結ってまるで膝切りの様な着物の袖を高々とくくり上げて男の子の様に家内の小用事をいそがしそうに立ち働いて居た。

始めて二人の会ったのは今でも有る裏の葡萄園であった。

その年始めて一人で祖母の家へ避暑に来た※(「くさかんむり/惠」