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おくみさんとそのしゅうい

お久美さんと其の周囲

宮本 百合子

「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页

青空文庫

お久美さんも其れを知って居た。

※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子もそれをさとって居た。

けれ共時の力を押える訳には行かなかったのである。

四

お久美さんと約束の日が来た。

※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子は朝から何となし落ち付けない気持でカタカタと机の上を片づけたりして居たが、お昼を仕舞うと先ぐ、髪を一寸撫でつけるなり飛ぶ様にして家を出て行った。

活々した葉が真昼の日光に堅く輝く桑の木の間を通って居る一番池への近路の畑中を抜けて、胸の高さ位の上を通って居る往還に登るとすぐ前を走って居る小川の土橋を渡った。

渡り切った所はもう池である。

力強い日が池の水面に漲り渡って、水浴をして居る子供達の日焼けした腕が劇しい水音を立てて水沫を跳ね飛ばしながら赤く光って、出たり入ったりして居る。

鋭い叫び声とバシャバシャ、バシャバシャ云う音に混って如何にも愉快な木の葉ずれが爽やかに※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子の躰を包んで、夏の嫌いな※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子にも「此処許りは」