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おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页
「そんなに好いとは思いやしないけれどね。
今よりは増しだと思うわ。
一年ましに伯母さんはひどくなって来るし、
どこにどうして居たって私はつまり不仕合せな人間なんだから。
「じゃあ何の尼さんになるの。
「何のってなあに。
「まあ、貴女の所じゃあ此頃キリスト教を信じて居るんでしょう。
だから仏様の尼さんかキリスト教の尼さんかってきくんです。
貴女成るんならどっちになるの。
「あら厭だ、私、
あんなキリスト教の尼さんになんか成りたくもないわ。袋みたいな黒い着物を着てる人でしょう。
衣を着た仏様の尼さんの方が余程好いわ。
私なるんなら仏様の尼さんだわ。
「貴女仏様って何だか知って居て?
年若い女に有り勝の何の根拠もない様に軽々と死にたいとか尼さんになりたいとか云う通りにお久美さんまで他人の話をする様な口調で「私成るんなら仏様の尼さんだわ」等と云って居るのを聞くと※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子はフト不愉快な気持になった。
此の出し抜けの問いは余程お久美さんをまごつかせた。
気を計り知れない様に※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子の方を一寸見て下目をしたっきりお久美さんはだまって仕舞った。