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おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页
利口であり美くしくもある。
今こそ斯うやって居ても近い未来に幸福になると云う事は分りすぎて居る位明白な事である。
そしてお関は恭に対して明かに嫉妬を感じ始めたのであった。
恭が何の差し支えもなくドンドンとはかどらせて行く幸福への道順を手放しで歩かせて見て居る気にはなれなかった。
此の恭吉のために此の広い世の中のどっかの屋根の下に一刻一刻と育ち美くしくなりまさって居る娘のある事を考える丈でもお関の体は震える程ねたましかった。
お関は様々の混乱した感情に攻められて何事も落付けない日を続けて居た。
けれ共間もなく恭吉は狂気の様な熱心と執拗さで発表された四十を越した女の爛れた様な羞恥のない熱情の下で喘がなければならなかった。
勿論、お関に対して恭は或る強味は持って居たのだけれ共、テラテラとした日の下で弛んだ筋肉のだらしなく着いた体を曲げたり伸したりして、其の獣の様な表情のある顔に大胆な寧ろ投げ遣りな影の差して居るのを見ると、胸の悪くなる憎しみと、侮蔑とを感じないわけには行かなかった。
恭吉は徹頭徹尾お関を馬鹿にして居た。
お関は恭吉に対して殆ど極端な嫉妬と不安とを持って居たにも拘わらず、不思議な悪戯者が何処か見えない所から二人を意地悪く操って居た。