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おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第一巻」河出書房、1951(昭和26)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,369 字 · 149 页
部屋の隅の方で帳面をつけて居た恭吉と云う洗濯男だの蠅入らずの前で何かごとごとして居た小女などは、田舎人の罪のない無作法と無遠慮でわざわざ頭をあげて※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子の方を見て居た。
お久美さんはだまって頭を下げて膝の所に浮いて居る白い布を集めたり手にのばしたりしながらお関に気兼をしいしい、折々※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子の眼をのぞき込んでは気の毒そうな――自分も※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子も――顔をして居た。
※(「くさかんむり/惠」、第3水準1-91-24)子はお久美さんと話したいと云う願望で胸がかたくなる様であったけれ共、仮りにも自分よりは一段下に居るべき者だと思って居る女の前で益々乗ぜられる様な素振りを現わす事はこらえる丈の余裕は有った。
年の故で人の好くなって居る祖母は、たった一人の女の子の孫に与えられた賞め言葉ですっかり満足して仕舞って、子供の様な眼差しをしながら、他人から見れば立派でも美くしくもない孫の体を見上げ見下しして、
「ほんとにねえ、年と云うものは恐ろしいものですよ。