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おかしのだいぶとうかい
お菓子の大舞踏会
海若 藍平
「九州日報」1923(大正12)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,325 字 · 5 页
五郎君はお菓子が好きでしようがありませんでした。御飯も何もたべずにお菓子ばかりたべているので、お父様やお母様は大層心配をして、どうかしてお菓子を食べさせぬようにしたいというので、ある日、家中にお菓子を一つも無いようにして、砂糖までもどこかへ隠して、いくら五郎さんが泣いてもお菓子を遣らない事にしました。
五郎さんは死ぬ程泣いてお菓子を欲しがりましたが、お父様もお母様も只お叱りになるばかり……とうとう五郎さんはすっかり怒って、御飯もたべずに寝てしまいました。
翌る日、学校はお休みでしたが、五郎さんは矢張り怒って、朝御飯になっても起きずに寝ておりました。
お父様もお母様も懲しめのためにわざと御飯を片づけてしまって、お父様はどこかへ御用足しにお出かけになり、お母さんも一寸買物にお出かけになりました。
あとにたった一人、五郎さんは、
「ああお腹が空いた。お菓子が欲しいなあ」
と思いながら、涙をこぼしてジッと寝ておりました。
すると玄関の方で、
「郵便……」
と大きな声がして、何かドタリと投げ出される音がしました。五郎さんは思わず大きな声で、
「ハイ」
と言って飛び起きて駈け出しますと、それは四角い油紙で、何だかお菓子箱のようです。