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けしのはたけ
けしの圃
小川 未明
「赤い鳥」1920(大正9)年7月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,337 字 · 11 页
この町を出て二、三丁向こうへいくと、大きな屋敷がある。そのまわりを石垣で取り巻いている。おまえは、ここにあるこの笛を吹いて、その石垣の石をかぞえながら、今夜の中に、その屋敷のまわりを一まわりすると、おまえのまだ知らない、ほんとうのお母さんにあうことができる。」と、黒い頭巾をかぶったおばあさんはいいました。
小太郎は、ほんとうのお母さんに、今夜あわれるということを聞くと、いままでの悲しいことも、また腹の減ったことも、疲れたこともすっかり忘れてしまいました。そして、勇気づいて、急に飛び上がりました。おばあさんの教えてくれた方に走っていこうとしますと、おばあさんは、小太郎を呼び止めました。
「この笛を吹くことを忘れてはならん。さあ、この笛を持っていって、石垣の石を一つずつ数えながら五つ数えてはこの笛を吹き、十数えてはこの笛を吹くのだ。」といって、たもとから四つか五つの子供の吹く、おもちゃの笛を取り出して、小太郎に渡しました。
小太郎は、よほどきてから、向こうから歩いてくる人に、
「このあたりの、石垣のある大きな屋敷は、どこでしょうか。」と、聞きました。
「ああ、あの女のきちがいのいる大きな屋敷ならもうじきですよ。