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こま

こま

小川 未明

「小学四年生」1937(昭和12)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,060 字 · 5 页

青空文庫

天下無敵というやつさ。」

黒眼鏡のおじさんは、三ちゃんのダイガンを負かすと、てのひらでなでまわして、喜びました。

「みんな、あすこの草の上へいって、寝転ぼうよ、あめをやるから。」

おじさんは、そういって、自転車についている箱から、あめを取り出してきて、みんなに分けてくれました。

仰向けになって、高らかな空を見上げると、しみじみと秋になったという感じがしました。小羊のような、白い雲が、飛んでいくのを見送りながら、三人は、思い思いに、おじさんの話を聞いていました。

「村に女の子で、お時といって、おれとおなじ年の子があって、こまもまわせば木登りも上手だった。隠れんぼをすると、お時は、ぞうりをふところに入れて、家の前にあった大きなしいの木に登ったものだ。風があって、枝が、ゆらゆら揺れているのに、てっぺんまで上るのだから、だれも見つけたものがなかったのだ。男の子とけんかをしても、泣いたことのない勝ち気な子だったが、どうしたろうか。」

子供たちは、もうおじさんの話を聞いていませんでした。

「おじさん、また明日おいでよ。こんどは、僕が敵討ちをして、おじさんの角を負かしてしまうから。