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さかだちこぞうさん

さか立ち小僧さん

小川 未明

「少年朝日 別冊冬の読み物集」1949(昭和24)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,958 字 · 14 页

青空文庫

「このごろ、小僧さんは、病気でないのかな。」

「どうして?」

「歌もうたわないし、遊んでいるときも、だまって、さか立ちもしないだろう。」

学校へのとちゅう、健ちゃんと、武ちゃんは話しました。

「そういえば、元気がないね。いつもほがらかなんだがな。遠くからきているので、かわいそうだね。」と、武ちゃんが、いうと、

「帰ったら、どうしたんだか、きいてみようか。」と、健ちゃんが答えました。こうして、二人は秀吉の身の上に同情したのでした。

あちらの庭に咲いた、さるすべりの花も、一時は、紅くきれいだったが、その盛りをすぎてしまいました。夕日が、西空にしずむと、北風の冷たさを感じるようになりました。

秀吉は、両手を頭の上で組んで、ぼんやりと、遠方をながめながら、物思いにしずんでいました。

この姿を見た子どもたちは、

「きっと、自分の家を思い出したのだろう。」と、そばへいって声をかけるのをひかえたけれど、なにか知らず、胸を細い針でさされたように、悲しみを感じたのでした。

その日は、日曜で、しかも空はよく晴れていました。もう太陽の光が、慕わしくなる季節だったので、赤とんぼが、羽をかがやかして飛びかうばかりでなしに、子どもたちが、空き地へきて、うれしそうに、遊んでいました。