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さかだちこぞうさん

さか立ち小僧さん

小川 未明

「少年朝日 別冊冬の読み物集」1949(昭和24)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,958 字 · 14 页

青空文庫

」と、武ちゃんが、ききました。

「おれは、貧乏の家に生まれたのだ。とうちゃんは、おれが生まれると、じき死んだので、お顔をおぼえていない。おれは、まったく、おふくろの手一つでそだてられた。母親は、手内職をしたり、よそへやとわれていったりして親子は暮らしていた。おれは、小学校をおえると、町の乾物屋へ奉公に出された。そして、たまに家へ帰ると、母は、いつも、おれに向かって、主人のいうことを守り、精を出して働けといった。もし、このうえ、私どもが貧乏しなければならぬようなら、おまえを角兵衛獅子にでもくれなければならぬと、半分は本気で、半分はおどかしのつもりだろうが、いったものだ。」

秀吉は、そのときのことを思い出すように、いつしかしずんで、だまってしまいました。

「小僧さん、角兵衛獅子って、なになの?」と、武ちゃんがききました。

「まだ、知らないの。角兵衛獅子って、私のくにでは、冬になると、よく村から村へわたってきて、おししの面をかぶったかわいそうな子どもが、さか立ちしたり、でんぐりがえしをしたりして見せるのだ。その間、おそろしい顔つきの親分が笛を吹いたり太鼓をたたいたりしてはやすのだ。