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さびしいおかあさん
さびしいお母さん
小川 未明
「教育・国語教育」1936(昭和11)年2月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,755 字 · 4 页
つぎに、花子が帰ってきて、お友だちのところへゆくのだから、髪を結ってくれといいますので、髪を結ってやったりしていますと、もう晩方になりました。晩には、お湯があるので、お湯に入ってからは、じき年ちゃんは眠たがりますから、その前に学校のおさらいをしてやりますと、ほんとうに、お仕事をする時間というものがなかったのでした。今夜は、おそくなっても縫い上げるつもりでいます。」と、お母さんは、おっしゃっていました。そばでこれをきいていた年ちゃんは、もしそれでお父さんが、怒るなら、お父さんがわるいと思いましたが、お父さんは、だまっていました。
いま、そんなことを考えると、お母さんが、なんだか、かわいそうになりました。
「あの原っぱで、あんなことをして遊ばなければ、ころびもしなくて、よかったのだ。」と、年ちゃんは、昨日、材木がたくさん積んである上を、吉雄くんや、賢二くんと、駈け足をして渡っているうちに、水たまりへ落ちて、着物をよごしたことを思ったのです。
「いまごろ、お母さんは、どうしていらっしゃるだろうな。」
いつもお仕事をなさるところにすわって、お母さんは一人で、ガラス戸の内から、外のお庭を見ていらっしゃる姿を、年ちゃんは、目に浮かべたのでした。