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ざんげのとう
ざんげの塔
夢野 久作
「探偵趣味」1927(昭和2)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,254 字 · 5 页
私はその数をチャンと記憶して遺恨骨髄に徹していた。
そのうちに私のニッケル側が壊れたから、これ幸いとその時計を持って上京して、おやじに新しいのを買ってくれといったら、おやじは仔細らしく私のニッケル側をゆすぶって見たあげくケロリとして、
「使えるだけ修繕して使え」
と言って知り合いの時計屋を教えた。私は煮えくりかえる程腹がたって、どうしてくれようかと思い思いその時計屋に行ったら、見知り越しの番頭が出て来て、
「いらっしゃいまし。旦那様のお時計はもう出来ております。玉が一つ割れておりましたので……お届けしようと存じておりましたところで……」
と言ううちに大きなマホガニーの箱をだした。開いて見ると、おやじが虎の子のようにしているプラチナの時計で、太い鎖と虫眼鏡までついている。
私はそれを持って九州へ逃げた。関門海峡を渡る時に、腹の中で赤い舌をペロリと出した。ところが福岡の棲家へ帰ると電報が来ている。
「プラチナトケイ。ケイサツモンダイニナリ。トリシラベウケタ。キサマニソウイナシトワカル。シキュウヘンソウシ。ソノムネデンウテ」
私は青くなって、時計を貴重品扱いで返送した。